インターネット広告の歴史

今回は私がGoogle Adsenseに登録してみたことから、インターネット広告の歴史についてあらためて調べてみたくなったので、WEBの広告配信システムの歴史を誕生から現在に到るまで振りかえってみたいと思います。

もともとWEBの広告は特定のメディア単位で期間指定の広告出稿しか出来ませんでした。広告主は自分でいい広告媒体を探し、媒体ごとの課金形態に合わせて掲載を依頼、そしてバナー広告の入稿なども媒体ごとに決まっており、効果もよくわからないという広告主側の負担が大きいシステムでした。一方媒体側も各自対応のため管理が大変であり、広告枠の売れ残りが発生するなどの問題がありました。

1999年ごろからはアフィリエイト広告が誕生し、アフィリエイト業者を介してのバナー掲載がはじまります。また2002年ごろからは検索連動型のリスティング広告もスタートし自主的な購買につながるとして話題になりました。2003年にはGoogle Adwords(現Google広告)がスタート。ユーザーの関連性の高いコンテンツマッチ広告を配信できるようになります。そしてBTA行動ターゲティング(Behavioral Targetting Advertising)などの手法が確立するにつれ、広告掲載方式に変化が生まれます。

アドネットワーク(2008年ごろ)

広告媒体のWebサイトを多数集めて「広告配信ネットワーク」を形成し、多数のWebサイト上で広告を配信する広告配信手法のことをアドネットワークと言います。アドネットワーク 業者は大量の広告枠を仕入れ、まとめてパッケージのような形で広告主に販売します。傘下のサイトのカテゴリ選択や、時間・曜日・地域指定などの配信設定の細かい切り分けが可能で、多くのWebサイトをまとめているためトラフィック量も拡大し、課金形態もPPC(クリック課金)CPM(表示回数課金)などわかりやすく単純化し、ネットワークで効果測定データも取ってくれるので広告主にとって大きなメリットがあります。また媒体側も売れ残りの広告枠が販売できるなどメリットがありました。

課金方式 例

PPC広告(Pay Per Click)
クリック課金広告とも呼ばれ、広告の表示回数ではなく、クリックされるたびにあらかじめ決められた広告費を期間などでまとめて、広告主が掲載媒体に支払う方式。

CPM広告(Cost Per Mille)
インプレッション課金型広告広告の表示回数ごとに課金される方式。単価の指標にはCPM(Cost Per Mille)=1,000回表示あたりのコストが使用されます。

アドネットワーク 一例

■ Googleディスプレイネットワーク(GDN)/グーグル株式会社

■ Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN/ヤフー株式会社

■ nend/株式会社ファンコミュニケーションズ

■ Rakuten Marketing Platform/楽天株式会社

■ AkaNe byGMO/GMOアドパートナーズ株式会社

■ Facebook Audience Network/Facebook

アドネットワークの誕生で広告主は以前より便利にWEB広告を出せるようになりましたが、新しい問題も発生しました。広告主側「このアドネットワークで良かったのか?」「本来掲載したい効果的な広告枠への掲載はあったのか?」など、媒体側は「広告枠をどこが買ったのかわかりにくい」「アドネットワーク業者の設定より高く売りたい」「結局売れるのは人気枠だけ」などです。これら管理運用の複雑さを解消するべく誕生したのがアドエクスチェンジという広告枠の値段を媒体社側や代理店側ではなく、広告主がオークション形式で決めるシステムです。

アドエクスチェンジ(2010年ごろ)

アドエクスチェンジでは多数あるアドネットワークはじめ複数の媒体が持つ広告枠を管理しているため、広告枠が簡単に交換できるようになりました。アドエクスチェンジは広告枠をインプレッション(表示回数)ベースで取引する市場であり、この市場の導入により広告枠単位でCPM(Cost Per Milles=1,000回あたりのコスト)入札する仕様に統一されました。需要(広告主)と供給(メディア)のバランスからインプレッションごとに広告枠の価値を評価して価格を決定します。広告主にとってはアドネットワークごとに別れていた広告の入札方式や課金形態を気にせず運用できるようにもなったのです。

アドエクスチェンジにおいて、広告枠のインプレッションが発生するたびに競争入札を開始し、最も高い金額をつけた購入者の広告を表示するといった方式が「リアルタイム入札(RTB)」と呼ばれます。とはいうものの広告費の増大を防ぐために2位の入札額+1円が落札額となる「セカンドプライスビッディング」と呼ばれる方式がとられます。

アドエクスチェンジ 一例

■ DoubleClick AdExchange/Googleが運営

■ OpenX Market Japan/Open X Japanがcciと提携し運営

■ Microsoft Advertising Exchange/Microsoftが運用(MSN・Skype)

■ YieldOne/プラットフォーム・ワンが運営

DSP/SSPでより便利に。さらにDMPも登場!(2011年ごろ)

アドエクスチェンジの登場により広告主・媒体側ともに以前に比べて簡単に問題も少なくWEB広告の配信ができるようになりました。そしてここからさらに進化し、複数のアドエクスチェンジやアドネットワークを管理できるツールが開発されました。それがDSP(Demand Side Network)SSP(Supply Side Network)です。

DSP(Demand-Side Platform)

Demand-Sideとは直訳すると広告を出したいという需要側、つまり広告発注の費用対効果を高めたい広告主のためのサービスです。広告主のために広告在庫の買い付け、広告配信、掲載面、クリエイティブの分析、入札単価の調整、オーディエンスターゲティング等、広告主のためにあらゆる最適化をシステマティックに行います。

SSP(Supply-Side Platform)

Supply-Sideとは直訳すると広告枠の供給側、つまりメディア(媒体)側のプラットフォームです。広告枠をなるべく高く買ってもらいたい媒体社(メディア)の収益を最大化させるサービスです。

DSP・SSPの流れ

①ユーザが広告枠のあるサイトを閲覧
②ユーザ情報(性別、年代、行動履歴など)もとに広告リクエストをSSPに送信。
③SSPがDSPに広告を配信オークションをリクエスト。
④各DSP内でオークション実施。
⑤入札の結果情報をSSPに返信。
⑥落札されたDSPの情報がサイトに送信され広告配信
※この処理を1imp(1回表示)ごとに一瞬で行なっている。

DMP(Data Management Platform)が誕生(2012年ごろ)

DMPとは広告主サイトに訪れたユーザ-情報、媒体サイト情報、オフラインデータや外部データ等あらゆるオーディエンスデータを全て統合し、管理するプラットフォームで、SSP・DSPと併せて使うことで広告配信最適化の精度が向上します。

上記のようにシステムとしてはDSP/SSPの登場で一旦完成された感じです。
次にこれ以降に出てきた新しい広告手法を説明いたします。

・動画広告(2012年ごろ)

静止画だけではサービスの価値を伝えることが難しいゲームなどや、インパクトのあるブランディングに有効な広告として広がり始めます。

・インタラクティブ広告(2012年ごろ)

インタラクティブ広告とはユーザーに体験をさせる広告のことです(WEBに限りません。)例えば動画広告の終わりに選択肢を設けて参加型ゲームを体験しているような気分にさせたり、雑誌にスマホをかざすと動画が流れたり、商品関連クイズに答えるとクーポンがもらえたり、体験させることでより強い印象を残します。

・ネイティブアド(2014年ごろ)

いかにも広告といった感じではなく、掲載面に広告を自然と溶け込ませることで、コンテンツの一部として見てもらうための広告。例えばブログの文中に溶け込むようにはいっていたり、まるで記事かのように掲載されていたり。似たものとしてステルスマーケティングがあるが、ネイティブ広告は【広告】と記載されているという違いがあります。

・オウンドメディア 自社広告(2015年ごろ)

企業が自社で所有するWebサイトをひとつのメディアとして活用すること。広告費を払って掲載する従来のメディアを「ペイドメディア」、FacebookやTwitterなどのSNSを活用し、オウンドメディアのオリジナル情報を拡散することを「アーンドメディア」と呼び、3つのメディアの有効活用をトリプルメディアと呼ぶ。

今後のWEB広告

冒頭で広告配信システムについて問題視というように記載しましたが、誤解しないでいただきたいのは決して広告自体を問題としているわけではないことです。現に広告主・媒体側ともにメリットのある形で進化しているのがわかったかと思います。ただしWEB広告費が膨れ上がるに連れて新たな問題がまた生まれています。

2017年1月、P&G マークプリチャード氏のスピーチが話題となりました。一部抜粋すると「インターネット技術によって、大量の“ゴミ広告”がもたらされている。この会場にいる企業は皆、消費者に毎日大量の広告を浴びせ、広告を表示するのに限りなく長い時間を使わせ、ポップアップ広告でコンテンツの閲覧を妨害している。広告をブロックする消費者が急増しているのも当然。ネット広告を実際に見ている消費者は、はたしてどれだけいるのだろうか」

事実アドブロッカーの使用は急増し、ブロックチェーンを使用し透明感を持たせるようなプロジェクトも次々と立ち上がっています。今後はブラウザ「Brave」などのように広告をユーザーが見ることで直接インセンティブが発生するタイプに移行するのではないかと思います。Googleはじめ既存企業もこのシステムを導入する可能性もありますね。ALISでもステマなどは問題視していますが直接広告は導入を考えているという話が前にありましたし、ユーザーが進んで広告を見てインセンティブもらえるのが一番効果がありそうですね。

長くなりましたので一旦終わります。次回は我々がネットを見ることでどのような情報を抜かれているのかを解説したいと思います!

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